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キラキラ 210

 僕は、はだけた浴衣の間から奈月の両肩に手を回し、乳房に頬を押しあてた。見た目から想像していたよりも大きくて弾力のある乳房だった。出会ってから10年以上経って初めて知る奈月の身体だ。
 気が済むまでそれをした後で、次に唇で乳首を軽く噛んだ。月明かりに尖って見えた乳首は、さらに小さく、固くなっていった。奈月は熱い息を吐き出しながら、再び身体をくねらせた。
 そうしていると、初めて幸恵の裸に触れた瞬間の記憶が浮かび上がった。あれは彼女のBMWの車内だった。夕闇が辺りを覆い、今日と同じように草の匂いが遠くに感じられた。夕空にうっすらと照らされた幸恵の乳輪を無我夢中でなめた。彼女はひな鳥のような声を上げ、僕たちはそのまま車の中で密かに交わった。
 東京に出てから、僕はガールフレンドと呼べる女性と出会い、何度か一緒に寝た。だが、彼女との行為の中で、幸恵を抱く時のような恍惚を得ることはない。もちろんそれは、恋心に比例するものだと分かっている。だからこそ、彼女を抱くといつも、ある種の申し訳なさを覚えてしまう。
 だが、今こうして奈月の上にまたがっていると、こんなふうにも思う。別れを前提に抱き合うことが、熱くて特別な感情を呼び起こすのではないかと。
 すると、奈月が僕のシャツを脱がし始めた。知らぬ間に、シャツはぐっしょりと濡れ、汗の匂いが漂っている。風は窓から入ってきているが、心と体の火照りを冷ますことまではできない。
 僕の上半身を裸にした奈月は、手のひらで身体をさわりだした。まるで隅々まで確かめるような手の動きだった。
 僕はいったん乳首から唇を離し、今度は彼女の浴衣を完全に脱がした。奈月は白くて小さなパンティだけになった。僕は彼女をうつぶせにさせ、おしりの方からゆっくりとそれを下ろした。奈月の方も汗ばんでいた。
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キラキラ 209

 奈月は僕の唇の間に舌を突っ込んだまま、上に乗りかかってきた。僕も彼女の腰に両手を回し、しっかりと受け止めた。奈月の腰は、思った以上にやわらかかった。
 僕がしばしの眠りにつく前にも、僕たちはキスをした。だが、今度はさっきとは全く違う体験のように思われた。決して抗うことのできない砂嵐に巻かれてしまったようだった。奈月は僕に抱かれることが前世からの願いだったと言った。それもあながち誇張表現ではないと思われるくらいに、僕たちは2人して深い場所に入り込んでしまった。
 月明かりに顔を濡らした奈月は、時折呼吸を激しくしながら、僕の口の中を貪欲になめ回した。これが奈月だとはとうてい信じられなかった。その時、こめかみの奥で、何かが壊れる音がした。それは、強風で木の枝がへし折れる音のようにも聞こえた。ああ、これまで妹のように慕ってきた奈月との関係に、何らかのピリオドが打たれるんだなと僕は悟った。
 すると、麻理子の影が再び現れ、「どうしようもないわね」とさっきと同じことを言ってきた。そうだ。どうすることもできないのだ。ここで深く抱きしめ合うというストーリーは、僕たちが出会った時からすでに用意されていたのだ。僕と奈月はこの瞬間に向かって大学生活を過ごしてきたのだ!
 心の中でそう唱えた途端、麻理子の影は煙のようになって、窓の外に流れていった。
 僕は、衝動のままに、目の前にある浴衣の襟元を大きく左右に開いた。浴衣の下は、薄手の白いシャツだけだった。シャツをまくし上げようとした瞬間、奈月は舌を離さずに自分の胸を僕の胸元にぴったりと付け、そのまま転がるようにして僕と奈月の位置は上下が逆になった。
 奈月の上にまたがった僕は、帯をほどいて浴衣を脱がし、下に着た薄手のシャツをゆっくりとまくし上げた。その下からは、月明かりに照らし出された乳房が現れ、小さく尖った乳首も露わになった。乳首ごと両手に包み込むと、奈月は背筋を大きく反らせて息を吐き出した。

キラキラ 208

 奈月は横たわっている僕のすぐそばにまで来た。背中に月明かりを受けた彼女の影が僕を見下ろしている。
「奈月はもうじき結婚するんだ」と僕は、彼女を見上げながらそう言った。奈月は何も返さずに、平然としている。窓からは草木の揺れる音がさらさらさらと聞こえてくる。
「奈月、お前は本当に奈月なのか?」
 そう問いかけると、「私は私だって教えてくれたのは先輩です。大丈夫だって、さっき言ってくれましたよね」と反駁してきた。その瞬間、奈月が六条御息所と重なるのだとつぶやいていたのを思い出した。月明かりに照らされた部屋、嵐山の地、木々を揺らす風。奈月は、今と平安時代は大して変わらないと言ったが、その感覚が僕にもはっきりと実感できるようになっている。
 僕はこれまで続いてきた奈月との関係が壊れることが怖かった。奈月は大切な妹だと言ってもよかった。
 人生の節々で苦境に立たされた時、僕を救ってくれたのは仲間の存在だった。僕にとって仲間と呼べる人間は、ごくごく限られている。女の子となると、奈月だけだ。彼女は花壇の隅に咲くタンポポのように、普段は目立たないところで僕の支えになっていた。そんな奈月を抱くことで、大切な支えを失うような気がしてならなかった。
 奈月はいつのまにか、浴衣の音すら立てぬままに、僕の隣に横たわっている。そうして彼女は、「私だって、怖いんです」とつぶやいた。まるで僕の心の声に感応しているようだった。
「でも、先輩にどうしても抱いてほしいんです。完全に道に迷ってしまった私を、正しい方向に連れて行ってもらいたいんです」と奈月は声を震わせた。奈月の顔は僕のすぐ近くにある。その上半分は月明かりに照らされている。
 次の瞬間、僕たちは再びキスをしていた。

キラキラ 207

 僕はもう一度、今度は瞳を凝らして奈月の背中を見た。何かの間違いじゃないかと思ったのだ。
 すると、奈月は少しだけ顔をこちらに傾けて、「だめですか?」と確認してきた。それを聞いて僕は、今の「ダイテモラエマセンカ」という言葉が決して聞き違いではないことを納得した。
「奈月は、いったい、何を言ってるのだろう?」と僕は返した。それが精一杯だった。
 奈月は身体を完全に僕の方に向けた。その瞬間、部屋に差し込む月明かりがわずかばかり揺らめいた。
「私、今日、先輩に抱いてもらうためにここへ来たんです」と彼女は言った。
「抱くのは簡単だよ」と僕は返した。「でも、奈月は、それでいいの?」
 月明かりを背に受けているために奈月の表情は濃紺に染め抜かれている。だが、彼女がずいぶんと落ち着いていることは全体から伝わってくる。
「だめですか?」
「何が何だか、よくわからないよ」と僕は思ったことをそのまま言葉にした。
「どうか、深く考えないでください。今も言いましたけど、私、先輩に抱いてもらいたいだけなんです。こう見えても、ずっと悩んでたんですよ。いつから悩んでたのか思い出せないくらい、ずっと悩んでたんです。で、思い切って先輩と旅行することになって、今日はずっと一緒にいれて、すっごく楽しくて、夢みたいで、それでも、その途中で何度も悩んでたんです」
「全く気づかなかった」と僕は漏らした。  
「そうやって、ずっと悩みましたけど、やっぱり私は先輩に抱いてもらいたいです。それって、たぶん、私が前世から願い続けてたことじゃないかと思うんです。だから、どうしても止めることができないんです」と奈月は声を大きくした。
 その声は恐ろしいほどまっすぐに僕の耳に届いた。
 それから彼女は、膝をついたまま僕の方にすり寄ってきた。

キラキラ 206

「奈月はもうじき結婚して、佐賀で幸せに暮らすんだ」と僕は答えた。そう言った後で、彼女がくれたうちわに描かれていたバルーン・フェスタの写真が思い出された。青空に向けて競うように浮かび上がる、色とりどりのバルーンたち。奈月の将来を象徴しているかのようだ。
 だが、その光景とは対照的に、月を見つめた奈月の背中は、依然として動こうとしない。
「子供を産んで、家を建てて、家族と一緒に暮らしていく。これまで奈月が大好きだった人たちに囲まれながら人生を送っていくんだ。諦めたり、切り捨てたりすることなんて何もない。奈月が思い浮かべていた通りの人生をこれから送ってゆくんだと思うよ」と僕は続けた。だが、その声もやはり乾いた感じで反響した。まるで頭蓋骨を棒で叩いているような響き方に聞こえた。
「思い通りにならないようで、じつは思い通りになっているのが人生、だよな」
 僕がそう言うと、奈月は「思い通りにならないようで、じつは思い通りになっているのが人生、ですかね」と確信を持てぬまま、言葉をなぞるように、声を出した。
「今は道に迷っているように思えるかもしれないけど、後できっと、今をなつかしく思い出す時が来るよ。その時になってはじめて、奈月の人生は間違ってなかったってことが分かるんだ」と僕は彼女の背中に向けて投げかけた。最初は奈月を励ますつもりで話していたが、そのうち僕の言葉にも力が与えられ、彼女は幸せに向かって着実に進んでいるのだという思いが強くなってきた。
 それから少しの間、僕たちの間には再び沈黙が横たわった。月の前には細い雲がゆっくりと通り過ぎてゆく。すると、突然、奈月が「先輩」と僕を呼び、それにより沈黙が破られた。
 僕は何も言わずに薄明かりに照らし出された奈月の背中を見た。すると彼女はこう言ってきた。
「抱いてもらえませんか?」
作者

スリーアローズ

Author:スリーアローズ
*** 
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