京都物語 24
料理が運ばれるまでの間、僕たちは黙り続けた。まるでお見合いでもしているかのような気まずさだった。結花は片方の手で頬杖をついたまましきりに窓の外を気にするような仕草を見せた。窓の外に注目すべき何かがあったわけではない。僕の顔を正面から見ることができなかったのだ。
僕は改めて結花が好きだと心の底から実感していた。おそらく結花も同じ感覚を心に浮かべているだろうということもちゃんと伝わっていた。歯痒かったのは、こんなにも好きな女の子をこんなにも苦しめておきながら、この子を安心させる言葉を掛けてやることができないということだった。しかもそれはどんな言葉なのか僕には分かりきっていた。にもかかわらずどうしてもその言葉を口にすることができなかった。仮に同じ状況が100回訪れたとしても、その言葉を外に出すことは絶対にないだろうという確信すらあった。
そういう意味において僕は冷静だった。そしてその冷静さがますます結花の心にダメージを与えるであろうことも分かっていた。つまり僕は悪人なのだ。結花のような理想的とも言える女の子に愛される資格などない。はなから不釣り合いだったのだ。結花は僕と別れた方が幸せになれる。そう考えると心が少しは慰められる気がした。
間もなくして結花のハンバーグと僕のカルボナーラが運ばれてきた。彼女はようやく前を向き、小鳥がエサを啄むかのようにして、好きだったはずの料理を少しずつ口に持っていった。だが半分も食べないうちにうつむいて、ナイフとフォークを静かにテーブルに置いた。
「これまで、ありがとう」
結花は顔を上げて突然そう言い、さっきの作り笑いをもう一度浮かべてみせた。僕はピストルで胸を射抜かれたような気分になった。
僕は改めて結花が好きだと心の底から実感していた。おそらく結花も同じ感覚を心に浮かべているだろうということもちゃんと伝わっていた。歯痒かったのは、こんなにも好きな女の子をこんなにも苦しめておきながら、この子を安心させる言葉を掛けてやることができないということだった。しかもそれはどんな言葉なのか僕には分かりきっていた。にもかかわらずどうしてもその言葉を口にすることができなかった。仮に同じ状況が100回訪れたとしても、その言葉を外に出すことは絶対にないだろうという確信すらあった。
そういう意味において僕は冷静だった。そしてその冷静さがますます結花の心にダメージを与えるであろうことも分かっていた。つまり僕は悪人なのだ。結花のような理想的とも言える女の子に愛される資格などない。はなから不釣り合いだったのだ。結花は僕と別れた方が幸せになれる。そう考えると心が少しは慰められる気がした。
間もなくして結花のハンバーグと僕のカルボナーラが運ばれてきた。彼女はようやく前を向き、小鳥がエサを啄むかのようにして、好きだったはずの料理を少しずつ口に持っていった。だが半分も食べないうちにうつむいて、ナイフとフォークを静かにテーブルに置いた。
「これまで、ありがとう」
結花は顔を上げて突然そう言い、さっきの作り笑いをもう一度浮かべてみせた。僕はピストルで胸を射抜かれたような気分になった。
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