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キラキラ 297

 そんな僕の心の声が聞こえているかのように、奈月は顔を半分こちらに向けたまま言った。
「ホテルを出る前まで、私もずっと悩んでました。楽しかった昨日の旅行でやめとこうと思ったんです。一生忘れられない想い出になるのは間違いないです。つらかった大学時代の思いがすべて消えてなくなるくらいの時間を過ごすことができました。だから、先輩が寝ている間に佐賀に帰っても、私は十分だったんです」
 僕は腰の動きを止めた。だが奈月は、今度は懇願してこない。僕の性器はまだ十分に固く、奈月のぬくもりがひしひしと伝わってくる。
「あのまま佐賀に帰ってたら、きっと、それはそれで、ハッピーエンドだったんでしょう。先輩は怒っちゃうかもしれませんが、それでも、トータルで考えたら、誰も傷つかなかったはずです。だけど、それは、できなかった」
 奈月はそう言いながら、自分の性器を僕に押しつけるように何度かゆっくりと腰を動かした。そうして、子猫の鳴くようなかすかな声を時折上げた。
「もし先輩を置いて、私1人だけ佐賀に帰ったとしたら、大きな心残りを心のど真ん中に空けたまま生きていかなきゃならない。たぶん、まともな結婚生活なんて送られないかもしれないなって、心のどこかで思ったんです。ホテルの洗面台で身支度を調えながら、これからの苦しみが異様にリアルに想像できました。そしたら、いきなり先輩が起きてきて、洗面台の鏡の中に現れたんです。あの時私は、ああ、やっぱりなって、正直安心しました」
 奈月の話を聞いているうちに、再び冷静さが体内に入ってきた。どうすればいいのかまた分からなくなる。いろんな魂が入れ替わり立ち替わり入ってくる、さっきの奈月と同じようなことが、僕にも起こっているのかもしれない。
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Author:スリーアローズ
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