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キラキラ 304

「光源氏は、この野宮で六条御息所と別れる前に、和歌を詠んだんですよね。 

あかつきの 別れはいつも 露けきを こは世に知らぬ 秋の空かな

 平安時代の恋愛は、夜に、しかも月の夜に行われるのが普通だったって昨日言いましたよね。だから、朝は別れの時間になる。もちろん光源氏ともなると、何度も朝の別れのつらさを経験していたわけです。それでも、この日のつらさは、これまで経験したことのないくらいだと彼は嘆いているのです。『露けき』と言っているわけですから、涙が出るくらいだったのでしょう。
 そんな源氏に対して、六条御息所も和歌を返します。

おほかたの 秋の別れは かなしきに 鳴く音な添へそ 野辺の松虫

 朝の別れというのはただでさえ悲しいものなのに、鳴き声を添えてさらに悲しくさせないでおくれ、野辺の松虫よ、と虫たちに呼びかけています。源氏の和歌に同調しながらも、この野宮で鳴く虫たちに向けて呼んでいる辺り、彼女らしいですね」
 奈月はそう言って、蝉の声に耳を傾けている。すると、境内のすぐ外で、オートバイの音が聞こえた。その音を聞いて、僕は目が覚めたような気がした。
「なあ、奈月」と僕は言った。「もう少しだけ一緒にいよう。いろいろと考えたいことがあるんだ」
 すると彼女はやつれた表情を残したまま、笑いながらこう返した。
「野宮での別れの時に、光源氏が感じていたことと同じようなことを言うのですね」
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Author:スリーアローズ
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