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キラキラ 344

 僕にとっては、奈月が何を言ったかということよりも、彼女が新幹線に乗らずにまだ京都にとどまってくれたことの方が数倍大きかった。思いは叶ったのだ。僕たちは、やはり宿世によって結ばれている!
「よし、とにかく、涼しいところへ行こう」
 そう提案したが、奈月は笑顔を浮かべたまま僕を眺めているだけだ。
「でも、先輩は気づいてくれなかったですね」と、奈月はあくまで自分の話を続けようとした。それも、いかにも親しげに。僕は、彼女と向かい合わせに立った。こんなにも小さかったかなと思った。
「でも、いいんです。だって、そこがいかにも先輩らしいところなんですから」と奈月は自問自答した。「心が広くて、自分をしっかり持ってるんです。先輩のそういうところが、すごく好きです。だから、私の思いに気づいてもらえなくても全然良かった。先輩のそばで、先輩の話を聞きながら笑うことができれば、それが一番幸せでした」
「奈月」と僕はまた名前を呼んだ。だが彼女は僕に頓着しようとすらしない。何だか人形に向かって話しかけているような気すらしてきた。
「それなのに、麻理子さんにすべてをぶち壊されたんです。先輩のそばで話を聞きながら笑えなくなりました。麻理子さんは、私の一番の幸せを取り上げたんです」
 そう言った途端、彼女の表情は一転して、険しくなった。
「苦しかったぁ。生まれて初めて、誰かを心から恨みました。何も知らない先輩が麻理子さんを抱いていると思うと、何だか、ほんとに気が狂ってゆくのを感じました」
 表情は険しさを増してゆく。やがて、メデューサの残虐な顔つきを連想させるほどまでになった。 
「奈月」ともう一度僕は言った。だが彼女はやはり気にも留めずに、「麻理子さんは、私の人生に、たくさんの悪いことを起こさせました」と冷淡な口調で言った。
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Author:スリーアローズ
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