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キラキラ 347

 東京行きの新幹線は予定よりも2分遅れで発車した。名古屋駅に停車した車両が何らかのトラブルを起こしたらしい。アナウンスでは、いかにも申し訳なさそうに繰り返し謝罪されたが、僕にとっては、何の意味ももたないことだ。
 薄暗い京都駅のホームが、ゆったりと後ろに流れてゆくのを、漠然と眺める。ホームに立つ人々もどことなく憂鬱そうに見えるのは、僕の心が投影されているのだろうか?
 1時間前に反対側のホームから、奈月は博多行きの新幹線に乗った。リュックサックのサイドポケットから、携帯電話を取り出す。着信は入っていない。
 再び電話をしまい、シートに深く腰かけた時、新幹線はホームの屋根を抜け、窓からは外光が差し込んできた。いつもならシェードを下げるところだが、しばらくこのままにしておこうと思う。
 京都の太陽は、東京のそれとは少し違って、叙景的だ。そんな乾いた京都の町並みが、徐々に速度を上げてゆく。遠くにそびえる比叡山も、ゆったりと後ろに動いていく。
 車内のインフォメーション・ディスプレイには、全国の天気が表示されはじめた。大阪→晴れ、京都→晴れ、名古屋→晴れ、横浜→晴れのち曇り、東京→曇りのち晴れ。
 佐賀の天気はどうだろうと思う。東京行きの新幹線だから、西日本の天気は表示されない。そんなごく当たり前のことを思うだけで、奈月はぐんぐんと遠ざかっていることが実感される。
 やがて新幹線は鴨川を越えた。もうすぐ僕も、京都に別れを告げる。静かに目を閉じると、耳の奥では、八条口で奈月の幻を抱いた時に聞こえた声が、たき火の残り火のようにくすぶっている。

もの思ふ人の魂はげにあくがるるものになむありける
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スリーアローズ

Author:スリーアローズ
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