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おろか者のやさしさ

 仕事の休憩時間に、コーヒーを飲みながらぼーっとしていると、ふっと何かを思い出すことがあります。
 今日は、10年前の職場の後輩が頭の中に入ってきました。彼は不器用さとひょうきんさを併せ持つ人間で、いつも他人に笑われたり、笑わせたりして、ただそこにいるだけで十分に目立つ男でした。その一方で、何事にも一生懸命で、与えられた仕事は手を抜きませんでした。しかも、これは注意深い人にしかわからなかったでしょうが、一見荒削りな感じの彼は、実は周りの人にずいぶんと気を遣っていました。
 私は、そんな彼があくせくと職場を動き回っている姿に尊敬の念を抱きながらも、この人はきっと疲れるだろうと、心配してもいました。実際、彼は季節の変わり目にはよく風邪をひいてダウンしました。そんな姿を見て、同情する人もいれば、陰口をたたく人もいました。
 一般的に、人間は2面性を持っているというのが私のとらえ方です。陽と陰、明と暗、動と静、そうやって両極の性質を併せ持つことでバランスを保たないと、うまく生きられないと思うのです。たとえば、人前ではとても元気な人は、気を許した親友の前ではたちまち寡黙になったりするのです。
 で、その後輩が、ある酒宴の席で、私に向かってこう漏らしたことがあります。「自分はどこへ行っても、年上の人からも年下の人からもばかにされてしまうんです」と。
 彼の眼は半分あきらめているようにも見えましたが、半分は本気でした。その時私の心には、過去にお世話になった中国人のカウンセラーの言葉が思い浮かびました。
「ほんとうに立派な人は、おろかに見える」
 その言葉を、私はそのまま彼に返しました。すると彼の瞳の色は、ぐっと黒くなったよう映りました。
 日本語を十分に理解しないカウンセラーがどんなつもりで「おろか」という言葉を使ったかは分かりません。ただ、「おろか」に見えるその後輩は、少なくとも私などには決して真似できない、とてつもなく大きな世界をもっているように思っていました。
 今日、コーヒーを飲みながら、おそらく彼は、今では堂々と生きているだろうと想像を巡らせました。
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Author:スリーアローズ
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