スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Tokyo ~part2~

 東京といえば、まず華やかできらびやかな大都会のイメージが浮かびますが、実際に足を踏み入れてみると、やはりビジネスの街といった印象が強いですね。私も、社会人になってから、学生の頃には感じなかった東京の厳しさを、痛いほど思い知らされることがありました。
 そんなことを思う時、過去に出会ったある人のことが頭に浮かびます。
 今から15年以上も前の話です。大学院を終了しても就職がなかった私が、やっとのことで教員試験の合格通知を受けた秋のことです。私は実家のある山口県から夜行バスに乗って東京に行こうとしていました。バスで上京するのは初めてのことで、出発前からドキドキしていたのを覚えています。
 前の席には、感じのよい中年の夫婦が座っていました。最初にどちらから話しかけたかは定かではありませんが、バスが出発してまもなく、私たちは自然とうち解けました。
 とにかくあの時の私は、自分の話を語りまくりました。自分は試験に合格するのに4年もかかってしまった、これからは地方の時代が来るからそのためにも教育の力は大きい、田舎は都会に比べて自由な空間が多い、そんなことを話した記憶があります。にもかかわらず、その夫婦はじつに丁寧に、しかも楽しそうな雰囲気で、私の話に耳を傾けてくださいました。今思えば、恥ずかしい限りです。
 翌朝、バスの車内で目が覚めた時には、絵に描いたような富士山が初秋の青空にくっきりとそびえていました。富士川のサービスエリアで朝食を取り、それから時間をかけて都心へと入っていきました。
 ちょうど田町辺りを通る時、奥さんが窓の外を指さして、「あれがうちのビルなんですよ」と、静かに言われました。そこには、三菱自動車の本社ビルの横に、茶色の高層ビルが建っていました。
「お兄ちゃんは、将来は熱血先生といった感じになるんでしょうけど、あなたのいいところをなくさないようにしてくださいね」と、ご主人はやさしく張りのある声で、最後にそう言ってくださいました。
 その後私たちは再会することはありませんが、文通をする仲は続いています。文章を書くのはもっぱら奥さんの役目ですが、その隣にいらっしゃるであろうご主人の姿を想像すると、胸があたたかくなってきます。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

作者

スリーアローズ

Author:スリーアローズ
*** 
旅に出ましょう
それも
とびっきり寂しい旅に・・・

最新の文章
リンク
みなさまの声
カレンダー
06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
目次
月別アーカイブ
検索フォーム
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。