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スリーアローズ・ストーリー 11

 A君は強情でありながらも、実はとても素直な高校生だということは彼の目を見れば分かりました。いや、ほとんどの高校生は、心のどこかに素直さをもっているというのが本当かもしれません。彼らは内面を表現するのに、ぶっきらぼうなところがあるのです。
 早稲田の入試問題の解答をA君に解説しながら、私は自らの実体験を彼に語っていました。そのうち、彼も少しずつ心を許すようになってきたという手応えがありました。
 そうして迎えた、県大会予選。週1日程度の練習、しかもグラウンドには照明がなく、私の車と工事現場の夜間照明を借りての限られた環境の練習を経て、3年生8人は新しいユニフォームを着てグラウンドに立っていました。
 1、2回戦はキャプテンの個人技が光って危なげない戦いで勝利し、準決勝へとコマを進めました。相手は強豪校で、実は私の母校でもありました。
 私はこの試合に賭けていました。というのも、決勝に進出するとテレビ中継もあり、新聞にも取り上げられ、これからのチームのことを考えると、今年の躍進ぶりを少しでも多くの人に知ってもらいたいという想いがあったのです。それに、選手たちも決勝に進出するのが大きな目標でした。過去に例がなかったのです。
 チャンスは十分にありました。相手は強豪とはいえ、その年だけメンバーが少なく、3年生は5人しかいませんでした。私がラグビーから遠ざかっている20年の間に、じわじわと少子化が進み、ラグビー人口も減っていたのです。
高校生の時、人間関係に苦しんだチームで戦った最後のグラウンドに、今度は違うチームの監督として立っている。しかも相手は、私が着ていたのと同じジャージを着ている。
 これまで経験したことのない感慨に、試合前から震えが止まりませんでした。試合前の乾いた晩秋の風に吹かれながら、今日はやれる、と思っていました。
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