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スリーアローズ・ストーリー 21

 私は、彼らに自分のもっている経験や知識をすべて伝えようと意気込みました。彼らには、多くのことを吸収しようとする意欲があったのです。
 そうして、新チームになって初めての公式戦が2月に行われました。部員が14人ということで1人足りなかったところを、過去に家庭の事情のためにやむなく退部してしまった選手に助っ人をお願いして、何とかメンバーを揃えての出場でした。
 ただ、自信に満ちた3年生を中心にしたチームは、14人で十分に戦える戦力でした。M君たち8人がきちんと機能すれば、負けるはずはありませんでした。
 そのゲームは、2年前にA君が骨折してまでも激闘した場所での開催でした。冬の冷たい風が吹きすさぶグラウンドで、ウインドブレーカーに顔を埋めながら、いよいよこの時がやってきたと、胸を熱くしました。彼らなら、きっと花園に出場できる、今日はそれを初めて披露する日になる、そう思うと武者震いがしました。
 対戦相手は私の母校であるO高校。因縁の対決でした。2年前の激闘を経験してから、私たちは互いに燃えるようなライバル心を持っていました。ましてO高校は名門でありながら、数年来全国大会からは遠ざかっていました。しかも、ここ数年は部員数不足に悩み、部の存続も危ぶまれるほどで、私たちのチームに敗れることだけは、何としてでも避けなければならなかったのです。
 OBとして、私も複雑でした。
 しかし、もはや私は、自分を育ててくれたO高校と決別しなければなりませんでした。監督とは、孤独なのです。過去を引きずっていては、新しい世界は切り開くことはできない。自分は自分に与えられた道を進むのみ、すなわち、M君たちを花園に連れて行くことしかなかったのです。
 すべての始まりを告げるホイッスルが、因縁のグラウンドに鳴り響きました。
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Author:スリーアローズ
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