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スリーアローズ・ストーリー 22

 ところが、試合が始まってしばらく経つと、嫌な予感がじわじわと心に染み渡りました。当初は、M君のキックで効果的に前進し、後は個々の能力の高さで立て続けにトライを取るという青写真を描いていました。
 しかし、0高校の思いもよらぬ泥臭いデフェンスの前にミスばかり犯してしまい、予想とは反対に、立て続けにトライを奪われてしまいました。2年前、A君が骨折した試合で3点差で破れた経験が頭から離れず、それ以上の差をつけて勝とうと目論んでいたのに全く逆の展開になってしまい、前半を終わって10点以上もリードを許していました。
 私は、まだ試合が終わっていないのに、内心、勝つことを諦めてしまいました。監督として、打つ手がなかったのです。キックで前に出て、個人技でトライを取る。そんなシンプルな、誰でも思いつくようなプランしか持ち得ていませんでした。
 私以上に、選手たちも焦っていました。それで、どうしても独りよがりなプレーになってしまい、ますます相手つけ込まれてしまいました。
 すると、試合終了間際、20点近いリードを許した状態で、S君が相手のキックをうまくキャッチしました。ディフェンスとの間合いは十分にあり、この試合で初めてとも言えるカウンター攻撃のチャンスでした。
 S君はお祖父さんがプロ野球のスカウトにもかかった方で、野球一家だったのですが、「自分の可能性を広げたい」という思いを抱いてラグビー部に入部していました。
 彼はボールを持つやいなや、ディフェンスを軽々とかわし、そのままライン際をするすると走り抜け、一気にトライまで持ち込みました。
 あまりに見事なステップに、会場は静まりかえりました。直後に、ノーサイドのホイッスルが鳴り響きました。S君の個人技だけで奪ったトライが、唯一の得点でした。
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