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スリーアローズ・ストーリー 27

 私はビデオカメラ越しに、選手たちの表情を注視しました。M君も、F君も、それから他のメンバーも、それまで見たことがないくらいに集中していました。O高校に大敗したことは、彼らにとっては、既に過去のものとなっているようでした。
「君たちは今から高校生活を送り、卒業して大学に入る。そして、社会に出て行く。人生の先輩として言わせてもらうと、君たちの人生は、社会人になってから始まると言ってもいい。今よりももっと大きな課題が与えられ、その分たくさん悩む。孤独に陥ることだってもちろんある。その時、課題を解決するために知恵を絞り、計画を立て、仲間と協力しながら事を進めていくんだ。社会人とは、その繰り返しで大きくなっていくものだと思う。そう考えると、ラグビーというチームスポーツは、人生の練習になるんだ」
 私はカズの話を聞きながら、高校時代を明確に思い出していました。名門校にいながらも人間関係に悩み、最後はチームがばらばらになってしまい、花園出場という目標も達成できなかった、あの時の光景が目の前に迫ってきました。
「だから、ただ力任せに勝てばいいということじゃない」とカズは続けました。まるでそれは、私の心を代弁してくれるような言葉でした。そこには、青春時代に同じ苦しみを味わったもの同士でしか得られない、深い共感がありました。そして、カズの言葉は、ラグビー部の監督になってからの2年間の私の孤独を、慰めてもくれました。
「仲間を思いやり、感謝し、尊敬する。そうして、みんなで力を合わせて目標に向かう、そのプロセスにこそ意味があるんだ」
 冬のグラウンドには西日が差し始めてきました。選手たちの横顔は、ことのほかまぶしく感じられました。
「1年以内に、H商工高を倒して、花園出場する。その目標を達成した時、君たちは、次の人生を迎える上で、一回りも二回りも成長しているだろう」
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Author:スリーアローズ
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