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スリーアローズ・ストーリー 30

 一通りトレーニングを終えた後、彼は再び円陣の中に立って、こう言いました。
「俺たちは、今日から『ずらす』ラグビーを目指す。身体も大きく、練習環境も整っているH商工に勝つためには有効な理論であることは間違いないからね」
 選手たちに異論などありませんでした。
「ただ、何でもそうだけど、シンプルに見えるものほど、実は奥が深いものなんだ。つまり、『ずらす』と言っても、いろんな局面でいろんなずらし方が考えられるはずだ。今俺は、自分のコアを敵のコアと『ずらす』ことによって前に出るのだと説明したね。でも、それ以外にも、いろんなずらし方があるはずだ。君たちは、頭がいい。だから、皆で知恵を出し合って、『ずらす』とは、何をどうすることなのかを考え、極めてほしい」
 その夜、カズが宿泊しているホテルの部屋で1日を振り返りました。予想していた以上に選手たちは意欲的で、能力も高い。計画通りに成長すれば、全国大会に出場するのも決して夢ではない、と彼は言い切りました。高校時代から、彼はお世辞などを言う人間ではないということを私はよく知っていました。
 そしてカズは、A3のコピー用紙を畳の上に広げました。そこに詳細に書かれていたのは、ターゲット・ゲームまでの計画表でした。あまりの緻密さに、私は圧倒されました。
「社会人のチームでは、これくらいの計画は立てるよ」とカズはタバコの煙を吐き出しながらそう言いました。
「1ヶ月ごとに目標を設定して、それを確実にできるようにさせる。進捗をチェックするのは俺の仕事で、計画を理解した上で毎日選手たちに取り組ませるのが、お前の仕事だよ」
 私はカズの顔を見ました。彼は「あの子たちなら、絶対に目標を達成できる」と言い、もう一度タバコを口につけました。
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Author:スリーアローズ
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