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スリーアローズ・ストーリー 41

 屋台風にしつらえられた狭い店内には、大きなラガーマンたちがひしめきあうように座り、ビールを飲みながらお好み焼きをつついていました。彼らは身体だけではなく声も大きく、会話の節々からは、ラグビーを卒業した後も大きな仕事に携わっていることがうかがえました。雰囲気に圧倒された私は、場違いなところに迷い込んだように感じていました。
 すると、その中に、見たことのある人がいました。それはラグビートップリーグの有名な監督で、次世代のラグビー界を切り開いてゆく指導者だと注目されている方でした。
「選手たちに向けて、ビデオメッセージを作ってもらおう」とカズは私の顔を見てそう言いました。私は、カズの影響で、いつでもどこでもビデオカメラを持参していましたが、この時ばかりはさすがに尻込みしてしまいました。
 じつは、早稲田OBの中に高校の先輩がいて、私たちはその人からの誘いを受けたわけですが、カズはいち早くその先輩のコネを利用しました。先輩が我々の意向を監督に耳打ちすると、監督はこちらを見て、きりっとした表情で一礼しました。
 おそらく、トップリーグの監督が高校生にメッセージを送るということには、いろいろと抵抗があったと思います。監督は少し考えていたようでしたが、やがてすっと立ち上がって上着をまとい、薄暗い非常階段に移動して、カメラの前に立ってくれました。
 監督からのメッセージは主に2つでした。
①時間は絶対に戻ってはくれない。
②学校のグラウンドでやったことすべてが試合に出る。
 帰りのタクシーの中でカズは神妙な面持ちをして「本当に大切な言葉だなあ」と何度もつぶやきました。そのビデオレターを見た選手たちは、感動のあまり、声を失っていました。
 監督からの2つの言葉は、結局、最後の最後まで選手たちを根底から支えてくれました。
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Author:スリーアローズ
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