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スリーアローズ・ストーリー 50

 監督が自信を無くしてしまうと選手に伝染すると危惧した私は、次の日のミーティングでは堂々と抽選結果を伝えることにしました。
 案の定選手たちは、抽選会場でクジを引き終えた瞬間の私と同じ表情を見せましたが、すぐさまきりっとした顔に戻り、カズが私に向けて言ったのと同じことを、異口同音に話し始めました。
 まず、「決勝がO高校というのは、精神的には楽かもしれませんよ」とS君が切り出しました。「決勝はテレビカメラも来るし、観客も多い。たぶんいろんな誘惑があって緊張するだろうから、そういうのに慣れているH商工よりは、O高校の方がいいですよ」
 するとキャプテンのM君が「たしかに」と高校生らしい張りのある声で続きました。
「試合の順番がどうであろうと、どうせ対戦するんだから、やるしかないですよ」と豪快なI君が言いました。おそらく彼らは、落胆した私の心を洞察して、その上であえて前向きな発言をしてくれたのだろうと感じました。その時、何が何でもこの子たちと花園に行くんだという、自分でも制御しがたい強い思いに体中が震えました。
 夜、カズから長いメールが入りました。これまでやってきたことをしっかりと実践すれば、準決勝でH商工に、決勝ではO高校に、立て続けに勝てるということを、理論的に整理してくれました。そしてさらに、勝利をより確実にするためのサインプレーを考案し、わかりやすく図示してくれていました。
 それは、15人全員が緻密に動くことで完成する、いわば、1年間取り組んできた技能の集大成ともいえるサインプレーでした。全部で5つのバリエーションがあり、これが決まれば少なくとも5本はトライが取れるよとコメントしてありました。得意げなカズの表情がパソコンの画面上に浮かび上がるようでした。
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Author:スリーアローズ
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