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スリーアローズ・ストーリー 54

 燃えていたのは、選手だけではありませんでした。保護者会も初の花園出場を信じて疑わず、その熱意は学校の同窓会をも動かし、グラウンドには念願だった夜間照明がつけられました。
 私が赴任して間もない頃は、自動車のヘッドライトと工事現場から借りた照明を頼りに限られた練習だけしかできませんでしたが、新たに設置された照明のおかげで、日暮れが早くなる全国大会予選の前にも、より長時間の練習ができるようになっていました。
 保護者会の中でも、会長であるM君のお父さんは特に本気になっていました。頻繁に電話をいただき、チームの情報を共有したり、大会までの保護者会の活動計画を作ったりと、2人3脚でチーム運営をすることができました。時にはM君の大学入試に話が及ぶこともありました。さすがに親として、結果が出るまで不安もあるようでした。
 これまで多くの進路指導に携わってきた私は、M君の指定校推薦を信じ込んでいたこともあり、お父さんには何度も「大丈夫ですよ」と声をかけました。
 その指定校推薦の校内会議の日、私は練習が終わった後すぐに職員室に戻りました。M君がA大学への推薦の権利を得ただろうと思い込んでいたところに、関係の先生から思わぬ言葉がかけられました。A大学は、M君ではなく吹奏楽部の生徒が推薦されることになり、M君は第2希望のB大学への推薦となった。
 それを聞いた私は、頭のどこかで何かが軋んだような音を聞き、一瞬、何が起こったのか全く分からなくなりました。
「会議の結果だから」
 議長は、ただそう説明するだけでした。私が食い下がったところで、それ以上のことは何も口にしませんでした。
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Author:スリーアローズ
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