スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スリーアローズ・ストーリー 57

「なるほどね」
 その夜、カズは電話でまずそう言いました。その時私は湯船に浸かっていました。
「時代が変わったね」とカズはさみしげに続けました。
 しばしの沈黙の後、私は、練習は盛り上がりに欠け、サインプレーもミスが目立つようになり、選手たちは落胆している、という現状を強調し、「何のためにここまでやってきたのか、わからないよ」とこぼしました。浴室には湯気がもくもくと立ち込めていました。
 するとカズは「オッケー」と声を上げました。
「キャプテンを変えよう」
 私は耳を疑いました。
「決勝戦は、誰をスタンド・オフで使おうか?」とカズは訊いてきました。スタンド・オフとはM君のポジションで、すべての戦術を選択する、いわば司令塔の役割を果たすところです。私は、ケンジを考えていると答えました。
 するとカズは、「よし、明日からキャプテンをケンジにしよう」と言ってきました。私はさらに耳を疑いました。というのも、ケンジはまだ2年生だったのです。
「学年は関係ないよ。Mの抜けた影響を最小限に抑えることが最優先だろ?」
 カズは何の疑いもなくそう言いのけましたが、私には、彼が本気でそう言っているのか、よくわかりませんでした。というのも、ケンジは2年生ということに加えて、少し弱気な面をもった選手だったのです。
「キャプテンになることで、ケンジ自身が一回りも二回りも成長するんだよ」
 その言葉を聞いた時、カズは本気でケンジをキャプテンにしようとしているのだとはっきり悟りました。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

作者

スリーアローズ

Author:スリーアローズ
*** 
旅に出ましょう
それも
とびっきり寂しい旅に・・・

最新の文章
リンク
みなさまの声
カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
目次
月別アーカイブ
検索フォーム
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。