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スリーアローズ・ストーリー 63

 H商工との試合の当日、朝早くにカズを駅まで迎えに行き、そこから1時間かけて山間のラグビー場に向かいました。
 それが、あの時車の中で、私たちはどんな会話をしたのか、全く記憶がないのです。その代わりに覚えているのは、冬雲の合間に青空が見えていたこと、それも、雲がねずみ色だったために、空がいっそう青く感じられたことでした。
 もちろんその風景は、後から付け足されたものかもしれません。実際は青空など出ていなかったのかもしれない。しかし、今思い起こしてみると、カズと2人で決戦の会場に向かう車の中の記憶といえば、その風景しか残っていないのです。
 グラウンドに着き、車から降りて冷たい風にさらされた瞬間、記憶が鮮明になります。まず、普段よりもたくさんの観客がいたこと。練習場であるサブグラウンドに向かう途中でいろいろな方に声をかけられ、手を上げられ、地方新聞の担当者も挨拶をしてきました。
 県内の多くのラグビーファンが、スリーアローズが決勝に進出する瞬間を期待している、あるいは、数年ぶりにH商工が県内の公式戦で敗れる光景を見ようと思っていたのかもしれません。
 選手たちも、周囲の様子を察したのか、さすがに表情をこわばらせていました。特に3年生は、ヘッドフォンで音楽を聴いたり、神妙な面持ちでしゃがみ込んだり、腕を組んで目をつむったりと、いつものリラックスした感じとはほど遠い様子でした。
 するとカズが「おはよう」といつもよりも大きな声を出し、彼らの中に入っていきました。選手たちが「おはようございます」と小声で返してきたところ、「今日はええ天気やなあ」と軽快に言いました。「風が吹いてるから、キックの使い方を考えないといけないね」
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Author:スリーアローズ
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