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スリーアローズ・ストーリー 70

 風上に立ったH商工は、キックを多用してくるに違いないと、私たちは予測をしていました。キックで前進するのは、H商工の常套手段だったのです。
 ところが彼らは予想に反して、いきなりパワープレーを仕掛けてきました。それは事前の戦略というより彼らのプライドのように見えました。今年のスリーアローズはそう簡単には勝てないと周りは騒ぎ立てているが、俺たちが負けるわけはない、そんな気持ちの表れだったのでしょう、彼らは前半の最初からどんどん激突してきました。
 スリーアローズの選手たちは、H商工の圧力を受け止めるのに精一杯で、なかなかボールを奪うことができず、逆にボールが手につかなかったりして、あっという間に自陣のゴールラインまで攻め寄られてしまいました。
 私としては、相手のキックオフのボールをキャッチして、ずらスキルで前進し、最後はとっておきのサインプレーでトライを取りに行くという筋書きを描いていました。いくらH商工とて、社会人トップリーグの選手であるカズが指導したサインプレーには対応できない、そんな自信を持っていました。
 ところが、試合開始早々にH商工の攻撃にたじろいでいる選手たちを見るにつけ、やはり思い通りにいかないのが勝負の世界なのだということを、ベンチに座ってひしひしと痛感しました。ただ、もはやそれも想定内の展開でもありました。選手たちにはこういう時のための修正能力もありました。彼らは激突してくる相手に対して、低く、そして複数での防御を行い、的確に対応しているように見えました。
 ところが、想定外のことが起こりました。防御システムのどこかにほころびが起きたのでしょう、H商工の選手がするすると走り抜け、いとも簡単にトライを奪われてしまいました。前半開始2分の出来事でした。
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Author:スリーアローズ
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