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スリーアローズ・ストーリー 73

 それは、向こうの監督の声でした。何をやってるんだ、あいつらを殺してでもいいからトライを取りまくれ、という怒声が風に乗ってこちらのベンチまで運ばれてきました。
 ラグビーをやっていると、そういうおぞましい言葉で檄を飛ばすのは、まあ、よくあることなのですが、その時私が察したのは、H商工のベンチもかなり追い詰められているということでした。なにしろ相手は、7年以上もの間、県内の公式戦で負けたことがないのです。まして、一昨年まで全く相手にしていなかったチームに苦しめられているという状況は、許せなかったのだと思います。
「オッケー、思った通りだ」
 カズも相手ベンチの焦りに気付いていました。
「後半の早い段階でトライを取って逆転しよう。そうすれば向こうはもっと追い詰められて、ミスを連発してくれるだろうよ」とカズはネックウォーマーに首を埋めて言いました。
「マジでおもしろくなってきたぞ」
 カズのその言葉を聞くと、私も、後半に何かが起こるような気がしてきました。
 観客からの声援に見送られながら、スリーアローズのジャージを着た選手たちが再びグラウンドに散っていきました。土や芝生で汚れた彼らの背中は、さらにたくましく映りました。これで最後にしたくない、心の中で何度も祈りました。
 周りの山々を見てみると、風がますます強くなったのが木々の揺れ方で分かりました。M君はキックオフのボールを敵陣深くに蹴り込みました。楕円のボールは不規則に回転しながら、風に乗ってぐんぐん伸びていきました。
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Author:スリーアローズ
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