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スリーアローズ・ストーリー 79

 12対7。終わってみれば、1トライ差のスコアでした。おそらく、それまでの10年間で、最もH商工を苦しめたゲームだったはずです。
 スリーアローズはストーリーの中に含まれている、それは、自分たちがパイオニアとなるストーリーだ、そう信じていたために、ノーサイドの直後は、目の前に起こった現実がいったい何なのかよくつかめず、ベンチで泣き崩れる選手たちをただぼんやりと眺めるだけでした。 
 その時、「先生、お疲れ様でした」という声が耳に入ってきました。顔を上げると、私が監督に赴任した時からのメンバーが応援に駆け付けてくれていました。
「ラグビーは進化しているから自分たちのやり方でさせてほしい」と直訴してきた当時のキャプテンや、夏に引退するかどうか悩んだ末にラグビーを続け、最後のゲームは骨折を押してまでも戦い抜いたA君の姿もありました。
「よくここまで強くなりましたね」
 大学生になっていくぶんか落ち着いた顔つきになったA君は、穏やかな言いぶりでねぎらってくれました。彼の背後には、過去のメンバーたちの顔がずらりと並んでいました。それは映画のラスト・シーンのように私の目の中に入ってきました。 
 ベンチを引き上げ、円陣を組んで腰を下ろした時、周りにはOBや保護者の姿もありました。その中で私が選手たちに向けてどんな話をしたのか、全く思い出せません。ただおぼろげながらに残っているのは、頬に涙の跡を残しながらも、笑顔を浮かべようとしていたスリーアローズの選手たちと、その中で、1人うなだれていたM君の姿でした。
 最後の戦いを終えた3年生は、M君の肩に手をやって、静かに慰めていました。
 それが、ユニフォームを着た3年生たちとの、最後の光景でした。
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スリーアローズ

Author:スリーアローズ
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