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偉大なる人物

 ここのところ、ほぼ1日2回、病院へ行っています。
 親父が網膜剥離の手術を受けて、長期の入院をしているのです。家から病院までは目と鼻の先なので、誰かが入院するたびにお見舞いに駆けつけるのですが、これが父親となると、頻繁に足を運ばずにはいられません。
 私が病室を訪ねるのは、早朝の出勤前と、夜の帰宅前です。分厚い眼帯を充てた親父は、顔を上げると眼球の中に充填したガスが抜けてしまうらしく、いつもうつむいています。そのせいで、顔は、試合後のマイク・タイソンのようにむくれ上がっています。
「これまで、こうやってうつむき続けることがなかったから、人の足下ばかり見とるわい。お前、足、でかいのう」と親父はおどけます。そうして、退屈しのぎの週刊誌を買わされたり、空腹に耐えられないとパンを買いに行かされたりと、私はいいように使われています。何かと不自由な病人のためには、これくらいのことはやって当たり前ですね。
 それにしても、病院とはなんとも言えないところです。どことなく薄暗く、薬品臭が漂い、入院病棟に入ると特有の生臭さが充満しています。プレッシャーを受けながらもあくせくと働かざるをえない私のオフィスとはおよそ対極の世界です。
 親父の病室は4人部屋ですが、他の患者さんもそれぞれに気が立っているようで、おそらく私なら、夜は全く眠れないだろうと思います。  
 そこへ持ってくると、親父はなかなかストロングです。1日中うつぶせてベッドに横たわりながらも、どこかエンジョイしているようでもあります。このあたり、漁師歴50年のキャリアが効いているのでしょう。遠洋漁業の大揺れの船内で、時に人間関係にもまれながらも生き抜いてきたわけですから、不自由な入院生活もものともしない様子です。
 そのうち、痛々しいこの親父が偉大にさえ見えてきます。
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スリーアローズ

Author:スリーアローズ
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