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宇宙の真ん中で

 今日はいつもよりも早めに仕事が終わったので、帰宅してすぐ、ランニングをしました。
 疲労感がありましたが、これはたぶん精神的な疲労だろうと思い、汗をかくことで発散できると踏んだわけです。
 夜の9時を過ぎていたので辺りは暗く、夜風が心地よく吹いていました。あまり負荷をかけるのもどうかと思い、いつものコースを少しだけショートカットして走りました。身体の方は気持ちよく動いてくれて、いくぶんか心が晴れました。
 走り終えた後で、クールダウンのウォーキングをしていると、親父が入院している病院が見えました。親父も1か月以上も病院生活をしていることになります。そういえば最近は仕事が遅くなるので、週刊誌やパンを持っていくことも減ってしまいました。
 そんなことを考えながら病室の明かりを眺めていると、目の前をホタルの光がゆらゆらと舞い上がってゆきました。その小さな、それでいてしっかりとした明かりは、高いところまで行った後、どこかへ消えていきました。
 光の跡を追っていると、空の高い所に月が出ていることに気が付きました。それまで20分以上走っていたのに、月の存在には気づかなかったのが意外に思われました。
 月の周りには、変わった形状の雲がありました。千切れ雲が、均等に、空一面に並んでいて、月の光に照らされることによって、1枚1枚の雲の輪郭が金色に縁どられていました。まるで、壮大な切り絵のようでもありました。
 それは不思議な光景でした。空が低く感じられたのです。背伸びをすれば、雲に届くんじゃないかと思うくらいに、低い空でした。それでためしに、手を伸ばしてみました。しかし、あと少しだけ、届きませんでした。
 ふっと息を吐いた時、病室の明かりが再び目に入りました。ホタルの光は完全に消えていました。
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スリーアローズ

Author:スリーアローズ
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