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渚のシルエット 1

「とりあえず、海に行きましょうよ」
 彼女はシートベルトを締めながら、そう言ってきた。
「海って言っても、この町に海はたくさんあるけど」と僕はキーをひねりながら答えた。
「いいの、海が見えればどこでも。そしたら、とりあえず、高校の方に行きましょ」
 彼女は静かに言った。それで僕はシフトを「D」に入れて、車を動かした。初夏の日差しが車の中に入ってきて、彼女の白いジャケットをさらにまぶしく見せた。
 彼女と会うのは、中学校を卒業して以来、かれこれ25年ぶりになる。
 同窓会の案内はがきをもらった時、僕はそのままゴミ箱に放り込もうと思った。10年前の僕なら、迷わずそうしたはずだ。
 ただ、その時ばかりは、「中学時代の同級生たちは今頃何をしているだろうか?」と、ふと考えた。振り返ると、そんなに楽しい中学校生活でもなかった。常に対立する者もいたし、勉強が出来るやつを妬んだこともあった。逆に、女の子たちからは影口を叩かれることもあったし、失恋もした。
 どちらかというと、中学時代は暗いイメージだ。その頃の友達との付き合いもない。それが、今となっては、25年ぶりに彼らと会うのも悪くないような気がしてきた。自分でも意外だった。
 すると、隣で彼女が「あ」と、思いついたように声を上げた。
「とりあえず、ローソンに寄ろう」
「どうした?」と聞くと、「冷たいコーヒーでも飲みましょう。車で送ってもらうんだから、それくらいおごらせてよ」と彼女は答えた。
 彼女におごってもらう気はさらさらなかったけど、同窓会の後のアイスコーヒーには惹かれるところがあったので、僕はローソンの駐車場に車を入れた。 
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スリーアローズ

Author:スリーアローズ
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