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渚のシルエット 2

 それから僕たちは、アイスコーヒーを飲みながら、再び、高校の近くの海へと車を走らせた。FMからはギルバート・オサリバンの『アローン・アゲイン』が流れはじめた。
 すると彼女は「ねえねえ」と聞いてきた。
「橋田君、結婚してるの?」
 僕は「してないよ」と即答したが、「1度したことはあるけどね」とまでは言わなかった。  
 彼女は「ふうん」とうなずいた後、ストローに口をつけた。
 僕には、彼女が隣にいることが、どうしても信じられない。実を言うと、中学時代、僕は彼女のことが好きだった。彼女は、クラスの中でも一番モテる女だった。彼女の方も、そのことを意識しているように振る舞っているように見えた。中学校時代の僕にとっては、そういう女の子は決して嫌ではなかった。
 だけど、僕は告白はしなかった。彼女に特定の男の子がいたわけでもない。今思えば、彼女は田舎の中学生の男子には、容易に手が出せない存在だったのだ。
 中学を卒業した後、僕たちは同じ高校に進学した。しかし、1学年が100人しかいなかった中学時代に比べると、高校は400人もいて、その分、女の子の数も4倍になった。
 学科が違った彼女とは、高校時代は話をした記憶がない。卒業後、彼女がどこへ進学したのかさえ、知らなかった。
 そんなことを考えていると、僕たちが通っていた高校の校舎が見えた。
「懐かしいなあ」と彼女はつぶやき、ストローに口をつけた。彼女はあの頃はしていなかった眼鏡をつけている。最近流行の黒縁の大きな眼鏡だ。それゆえ、彼女の頬はより小さく白く見える。とはいえ、あの頃の少女の面影は、大人の女性のそれへと変わっている。
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スリーアローズ

Author:スリーアローズ
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