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時の曲がり角

 先日、おじさんのお見舞いに行きました。
 私には20人以上のおじさんとおばさんがいるのですが、この人はその中でもトップクラスの偏屈者です。私とは直接血はつながっているわけではありませんが、子供のころから、いろいろな想い出があります。
 おじさんは大工の棟梁で、私の実家も建ててもらい、30年以上経った今なおミシリともしないクオリティを保持しています。職人気質とでもいうのでしょうか、仕事場ではちょっとのことですぐにキレまくっていたので、おじさんの家に行くときにはいつもビクビクしていました。
 そんなツワモノですが、私がやっとのことで就職試験に合格した時には、意外にも涙を流して喜んでくれたのをよく覚えています。ああ、期待を裏切っちゃいけないな、と。
 ただ、おばさんが亡くなってからは、目に見えて元気がなくなっていき、脳の病気を患って起き上がることもできなくなり、病院での療養生活を余儀なくされていました。
 それが、このたび、海の見える特養に移ったということで、数年ぶりに顔を見たわけです。おじさんは前会った時よりもさらに痩せていて、ちょうど食事の介助をしてもらっていました。日本酒と焼き鳥をこよなく愛していた往時を想うと、胸が詰まりました。数々の立派な家を建ててきた手にも骨と血管が浮き出ていて、目の周りも頭蓋骨の輪郭がわかるほどにくぼみ、別人のように見えました。それでも、私の顔をまっすぐに見てきました。
「おじさんにはずいぶんと怒鳴られたなあ」と耳元で言って手を握ると、おじさんはにっこりと笑い、まぶたの奥からは涙がこぼれてきました。
 その手はとても温かく、これまで当たり前のように流れてきた時間がいとおしく感じられました・・・
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Author:スリーアローズ
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