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静かな時間

 子供の頃から、正月には霊感のような静けさを感じてきました。
 それは、墓や仏壇に手を合わせたり、神社に参詣したりすることから来ているのは間違いないのですが、どうも他にゆえんがあるような気がします。
 私の母親の実家は、今では消滅しかけた鄙びた地区にありますが、往時には、たくさんの親戚が集まってこたつを囲み、おせち料理を食べたものです。
 私の親はいわゆる「金の卵」世代で、親戚たちは首都圏や関西圏へと出ていましたが、正月の間だけは決まって故郷に集い、私たち子どもはいとこ同士で楽しい時間を過ごしました。外へ出ると、夕焼けが、一面に広がる田んぼを柿色に染めていました。その光景は、今でも心の深いところに焼き付いています。私は枯れ草のにおいが好きでした。それから、田んぼに降りてみんなで凧揚げをした記憶も残っています。
 私にとっての正月のイメージとは、山間の集落に親戚同士が身を寄せる風景に他なりません。そうして、その中心には、目に見えない「何か」があった、それはひょっとして、代々命をつないできた先祖の魂かもしれないし、もしかしたら、もっと大きくて漠然としたものかもしれない、いずれにせよ、幼かりし私は、そこに霊感のような静けさをいつも感じていました。
 時代は変わり、すっかり高齢になった親戚たちは帰省すらできなくなり、広々とした母親の実家は、ただきれいに磨いてあるだけで、もう人が集まる場所ではなくなりました。
 それでも、大晦日には餅をつき、玄関先にはしめ飾りが提げてあります。すっかり古くなった家の中にいると、正月につきまとう精神性だけは、まだそこにあるような気がしてならないのです。
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Author:スリーアローズ
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