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もっともっと、歌いましょう!

 大学院生だった頃、同じ研究室に留学していたタイ人の友達の実家に遊びに行ったことがあります。タイの人は近所や親戚同士のつながりが深く、食堂を経営していた友達の家にはさまざまな人たちが集まって、日本からの客をもてなしてくれました。
 1週間バンコクを満喫した後の帰国の日。空港までは、友達のいとこが運転するワゴンで送ってもらいました。運転手の他には友達と叔母さんが同行してくれました。日常会話はすべて友達が通訳していたのですが、その帰りの車の中でどうしても感謝の思いを直接伝えたくなって、たまらず『今日の日はさようなら』を歌いました。
 どうしてここで熱唱しているのだろうと自分でも変な気持ちがしましたが、友達も、それからハンドルを握っていた彼のいとこも後ろに座っていた叔母さんも一生懸命に聞いてくださり、叔母さんは涙を浮かべていました。
 話が変わって、日本の文学が「万葉集」から始まったということは、かなり前に書きました。「真面目で勤勉」と言われる日本人の文学の始まりが歌うことだったとは、少し意外に感じるかもしれませんが、たとえば『源氏物語』の至る所で、光源氏は当時の大衆民謡である「催馬楽(さいばら)」を歌っています。
 その内容たるやなかなか生々しく、自分の思い通りにならない恋を嘆いたり、思い人に恋のアピールをしたり、しかもかなりの下ネタが混じっていて、俗っぽさ満載です。
 人生でも恋でも、思い通りにならないことだらけの中、現実逃避で紛らわせるのではなく、歌うことによって心のバランスを保とうとする、日本人は古来からそのようにして人生を乗り切ってきたとも言えるのでしょう。
 空港へ向かう夜のバンコクの煌びやかさと、ワゴンの中にいた人たちのやさしさは、『今日の日はさようなら』のメロディに包まれて、色あせることなく胸に残っています。
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Author:スリーアローズ
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