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奇跡(あるいは、タイムレス)

 日赤本社での会議が終わった後、20年前に夜行バスで出会ったご夫妻と恵比寿駅で待ち合わせました。顔すらはっきりと覚えていなくて、本当に会えるかどうか不安でしたが、予定通り、私たちは再会を果たしました。
 ご夫妻ともとても元気で、ご主人は今年79歳になるということですが、あの日のことをすぐに思い出すことができるほどに、変わっておられませんでした。
「僕たちはね、よくこの辺を歩くんですよ」と、ご主人は道すがら何度かそう言われました。最初に案内してもらったガーデンプレイスはイルミネーションできらめいていました。
「この光景をあなたに見せたくてね」とご主人はしみじみとおっしゃいました。
 それから私たちは、広尾に向かって歩きました。一本路地に入っただけで閑静な住宅地が広がり、昔からの人情の香りがしました。
 お2人とも生粋の江戸っ子で、恵比寿と青山と目黒に移り住んできたこと、細かった路地はどんどん大きくなり、ビルが建ち並び、昔からの友人は郊外へと移り住んでいったこと、そんな話を明るくしてくださり、その語り口にこのご夫妻の生き方そのものを見せていただいたような気がしました。
 聖心女子大の前を通る頃にはずいぶんと日が落ちていました。この冬一番の寒気が肌に張り付いてきましたが、常に私の前を歩くご夫妻に引っ張られるように歩を進めました。
 その後、ご夫妻が行きつけだというお寿司屋さんに案内されました。東京で寿司を食べたことなどなかった私はただただ恐縮して、正直じっくり味わうこともできませんでしたが、ご夫妻のあたたかさにずっと心打たれていました。なんだか、奇跡のようでした。
 気がつけば3時間が経っていました。バス停で私を見送ってくださったご夫婦を見ていると、ああ、この方たちにとっての20年はあっという間だったのだなと思いました。
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スリーアローズ

Author:スリーアローズ
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