スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

鎌倉物語 17

 それから僕たちは円覚寺の伽藍を奥に進んだ。境内には様々な建物が散在していて、一見何かのテーマパークのようにも映った。茅葺き屋根の古びた建物も多く、明子が言ったとおり時代を感じさせる味わいのある風景が重なり合っている。
 仏殿からしばらく歩くと、左手に妙香池という深緑をたたえた池が現れた。池の中にはバームク-ヘンの断面のように層の模様が入った岩肌がむき出しになっている。岩の近くには「虎頭岩」という看板が掛けてある。
「ただの池じゃないな」と僕が立ち止まって言うと、「枯山水の庭園を意識してこしらえてあるんじゃないかしら」と明子は言った。「ちょうど岩の近くで水が湧いていたから、それをうまく利用して庭を造った。禅の世界では庭は宇宙を表現するための1つの方法だから」
 そう言って明子は池の畔に立っている説明板を読み始めた。それから「へぇ、この池は夢窓疎石が作ったんだ」といつもよりも高めの声を上げた。その人物は誰だと僕が聞くと彼女は説明板に目をやったまま答え始めた。
「鎌倉時代の高名な禅僧よ。南禅寺とか、京都でも相当レベルの高いお寺の住職を務めた人よ。庭師としても超一流で、たしか苔寺で有名な西芳寺の庭園にも関わってるはずよ」
明子はやや興奮気味にそう言って、それから再び池を眺めた。元々緑色の水は、周りの木立を水面に映し、よりいっそう深い緑に見える。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

No title

毎回楽しみに読んでます。私も鎌倉が好きでちょくちょく行ってますが、こうやって文章として読むのもなかなかいいものです。
作者

スリーアローズ

Author:スリーアローズ
*** 
旅に出ましょう
それも
とびっきり寂しい旅に・・・

最新の文章
リンク
みなさまの声
カレンダー
03 | 2017/04 | 05
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -
目次
月別アーカイブ
検索フォーム
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。