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キラキラ 124

 それ以上奈月をいじめるのは、彼女の気分を害しかねない気もしてきた。
 すると奈月は真顔に戻って、「さっきどこまで読みましかね?」とつぶやきながらページをめくりはじめた。「あ、そうそう、六条御息所が伊勢に下ってから、明石の君が再生されたっていうことでしたね」
 そう言った後、彼女の腕が再び僕に触れた。
「東山は続きを書いてるんだろ?」と僕も話を先に進めるように促した。
「ですね」と奈月は応えた後、「『ほのかなるけはひ、伊勢の御息所にいとようおぼえたり』って光源氏が思うところまで話しましたね。じゃあ、その続きを読みますね」と言い、しおりの音読を再開した。
「初めて明石の君の様子をじかにうかがった光源氏は、六条御息所を思い出しながらも、部屋の中に入ろうとする。そこの描写が、かなり面白い。
 まずは明石の君の動きである。『近かりける曹司の内に入りて、いかで固めけるにかといと強きを』と書いてある。簡単に訳すと、突然の源氏の訪問に戸惑った彼女は、とりあえず近くの部屋に逃げ込んで、どうやったのか分からないほどに扉を固く閉ざしたのだ。
 それに対して源氏は『しひてもおし立ちたまはぬさまなり』という反応をした。つまり、無理に中に入ろうとはしなかった。彼も一流の貴族だ。野暮な行為などしない。
 その後2人はどうなったかというと、『されどさのみもいかでかあらむ』と書かれている。訳すと、とはいうもののどうしてそのままの状態で過ごされるだろうか、ということだ。つまり、お互いに意地を張ったままの状態が長く続くはずはなかった。
 その洞察の通り、いつしか源氏は部屋の中に入り、明石の君を抱き彼女の中に入った。上品ですらりと背の高い明石の君の姿に、こちらが恥ずかしくなるほどの魅力すら感じた。無理強いのように結ばれた2人の仲にも深い縁があったのだという感慨も抱いた。源氏の思いは以前よりもいちだんと強くなった。明石の君は、まさしく野宮で別れた六条御息所と重なるところが大きかったのだ」
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Author:スリーアローズ
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