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キラキラ 125

 新幹線の風切り音がかすかに低くなった。まもなくして京都に入るために、ギアが1段下がったのだろう。遙か遠くには比叡の山々も望まれる。そんな僕の横で、奈月はしおりの文章を丹念に読み上げている。彼女の声の中に、東山の声が再び重なりはじめている。
「この場面の本当のおもしろさは、実はまだ別にあると私は思っている。それを解明するために、初めて源氏の訪問を受けた明石の君の動きをもう1度読んでみよう。

 かうものおぼえぬに、いとわりなくて、近かりける曹司の内に入りて、いかで固めけるにかいと強きを、しひてもおし立ちたまはぬさまなり。 

 明石の君は、曹司と呼ばれる部屋の中に入り込んで、固く戸を閉めた。光源氏は、無理にこじ開けようとはしなかった。そんな場面だ。私は、この描写は比喩だととらえている。すなわち、固く閉ざされた戸とは明石の君の性器をたとえている。彼女は、そこに光源氏を通すと、もう2度と戻れなくなることを知っていた。かたや源氏の方も、そんな彼女の心中を十分に察していた。だから、無理強いはしなかった。
 ところが、さっきも述べたように『されどさのみもいかでかあらむ』、つまり、お互いに意地を張り合う状態は長くは続かなかった。この場面で、光源氏が戸を開ける描写は省略されている。気が付けば、2人は交わっていたのだ。つまり、戸とは性器だったのだ。
 そうして源氏は、明石の君との間に結ばれた縁にしみじみとした思いを馳せる。京都から須磨に流れ、嵐の中に立ち現れた住吉の神が引き合わせたのは、この美しい女性だったのだと。つまり、今回の流離の旅は明石の君と出会うためだった。そしてそのことは、あれほどまでに激しく愛し合った六条御息所との決別をも意味した。事実、明石の君を強く思うにつれ、六条御息所の影はみるみる薄くなってゆくのだ」
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