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キラキラ 131

 あの時の自分を振り返ると、なんと罰当たりな男だったんだろうと愕然とする。目の前に鏡を突きつけられて、「ホラ、これがあなたのほんとうの素顔ですよ」と言われ、中には驚くほど醜い顔が映っている。え、これが僕ですか? 信じたくはない。そうやってゾッとする感じだ。
 現状に直面していた時はただ必死で、自己を客観視することなんてとても難しい。だが、後になって冷静にその時の自分を眺めてみると、なんと自分は愚かだったろうと、ため息しか出ない。
 ということは、今の自分がまともな生き方をしているかどうかさえ怪しくなってくる。
 大学生の時、まるで妹のように慕っていた女の子と2人きりで旅をしている。もちろん、学生時代の想い出を辿る旅だと言えば十分に聞こえはいい。いくつになっても僕たちは先輩と後輩の仲なのだ。
 だが、奈月はもうじき結婚を控える身でもある。倫理的な観点に立つと、今回の旅は手放しで正しいとは言えないだろう。京都に近づくにつれて僕を追及しはじめたそんな感覚は、今や水に溶けた黒いインキのように、じわじわと心に浸食し始めている。
 前回ここへ来た時、僕には麻理子という女性がありながら、他人の妻である幸恵のことをひたすら考えて嵐山の街を歩いた。罪悪感すらまったく覚えないくらいに、幸恵のことでもう頭がいっぱいだった。
 それが今は、他に婚約者がいる奈月と2人きりで京都駅のバスターミナルに立ち、あの時感じなかった罪悪感を抱きつつある。明石にいた時には、後輩との旅なんだからあまり細かいことを気にせずにただ楽しめばいいとたかをくくっていた。それが京都に入った途端、そうやって割り切って考えることができなくなって、心は善と悪の間を行ったり来たりしている。それだけ僕も大人になったということなのかもしれない。
 とにかく自分に言い聞かせる。これは、学生時代の後輩と一緒に、あの頃の想い出を辿るだけの旅なのだ。だから、悪いことは何もしてない。僕たちは男と女の関係ではなく、あくまで先輩と後輩なのだ!
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スリーアローズ

Author:スリーアローズ
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