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キラキラ 132

 そう言い聞かせながら、バスターミナルの屋根の間から、青空に白くそびえる京都タワーを見上げる。その後で目の前に立つ奈月の背中を見下ろす。学生時代この子の隣には必ずと言っていいほど東山の姿があった。さっきまではべつだん何も感じなかったのに、タワーを前にするとさらに奈月が小さく見えてしまう。
 すると奈月は僕に背中を向けたまま「なかなか来ないですね」とつぶやいた。彼女の首筋はますます汗ばみ、うなじの辺りには髪の毛が海藻のように絡みついている。 
「俺たちがここに来る直前にバスが出てしまったんだろうな」と僕は何の気なしに奈月に同調した。
 僕の後ろには、いつの間にか人が並んでいる。うちわをあおぐと、熱風が返ってくる。さっき新幹線の中で1度は乾いたシャツの背中は、もはや取り返しがつかないくらいに汗で濡れている。
「早くホテルに入って、ゆっくりしたいです」と奈月は言った。
「ちなみに」と僕は思っていたことを聞いた。「今日の部屋割りって、どうなってるんだっけ?」
 すると奈月は顔だけこちらに向けて、「1部屋しかとってないですけど、まずかったですかね?」と言ってきた。
 僕はいろいろなことを考えた末に、「別にまずいっていうわけじゃないけど、奈月はそれでいいの?」と投げかけた。彼女は額に付着した前髪を後ろにやりながら、「私の方は全然問題ないですよ」と平然と言った。「じつは、前来た時にあのホテルをとったの、私だったんです。東山君、その辺のことは無頓着だったんで、私がインターネットで予約しといたんです」
「たしか、学生が気軽に泊まれるような宿じゃなかったよな」と僕は曖昧な記憶を辿りながら言った。
「だって、あの時はラッキーなことに、たまたま学生限定のプランがあったんですもん。でも、さすがに今回は安い部屋はなかったです。それで、広めの和室を1部屋だけ予約しといたんですけど、先輩が不都合なら、もう1部屋とりましょうか?」 
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Author:スリーアローズ
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