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キラキラ 135

「なるほどね、いかにもあいつが言いそうなことだな」と僕は相づちを打った。一見さわやかなサッカー選手といった風貌の東山が、汗をかきながらまぶたに力を入れて語る姿が思い浮かぶ。
「だから京都に来るといつも、独特のパワーを感じるって言ってましたね。京都には街全体に迫力があるって彼の口からよく聞きました」
「迫力?」
「はい。空海のパワーを感じるとか言ってましたよ」
「空海?」
「なんか、頭イカれてるみたいですよね。でも、あの人はまじめな顔して何度もそう言ってました。ずいぶんと前に東寺に行った時に、あの中の仏像を見て圧倒されたんですよ。たしか東寺を開いたのは、空海でしたよね。だからきっと、その印象が強かったんだと思うんです。京都って、街中にお寺が突然現れるじゃないですか。それで仏教的な迫力を感じ取ったんでしょう」
 京都に来て興奮している東山の隣で、奈月が微笑む姿が鮮明に想像できる。やはり2人はお似合いのカップルだったのだとつくづく思う。そう考えると、今奈月の隣に僕が座っていることに、どうしても違和感を覚えてしまう。東山がここにいないというだけで、僕たちのバランスは崩れ、僕の心もざわめきはじめている。
 改めて心の中で唱える。いいかい、これはあくまで学生時代の想い出辿る旅なんだぞと。大丈夫だ。そのうちホテルに入れば、たくさんの記憶が甦ってくる。そうして、想い出話に花が咲くはずだ。
 バスは四条烏丸の交差点の赤信号で止まった。その時奈月が口を開いた。
「そういえば、東山君は明石の君のことを話してたんじゃないですかね。今から泊まる嵐山のホテルは、明石の君が住むことになった邸の近くなんだって、たしかそんなことを言ってたような気がします」
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Author:スリーアローズ
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