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キラキラ 139

「そんな都合のいい光源氏に対して、紫の上は、大人の対応をします。彼女は源氏への返事を『何心なくらうたげに』、つまり、何のこだわりもないようなかわいらしい様子で書いたのです。もちろん、内心は穏やかじゃないんですよ」と奈月はあくまで紫の上をかばうように言った。
「で、どんな内容なの、その手紙は?」と僕は話を急かした。
「まず彼女は『忍びかねたる御夢語につけても、思ひあはせらるること多かるを』と書き出します。訳すと、私に隠すことのできない夢語(ゆめがたり)を聞いて、あなたのことが信用できなくなるのですが、という意味です。夢語とは、夢の内容を目覚めた後に語ることで、ここでは光源氏が明石の君と関係を持ったことを指します。つまり、紫の上は源氏に失望したことを遠回しに伝えてるんです。その上で、和歌を返します。

うらなくも 思ひけるかな 契りしを 松より浪は 越えじものぞと 
 
 思えば、うっかり安心してしまっていました。あれほどまでに強く約束したんですもの。まさか、裏切られることはないものとばかり思っていました。そんな女心を詠んだ和歌です。しかも『うら(浦)』とか『松(待つ)』とか『浪』など、海を感じさせる言葉をあえて散りばめてます。うまい反撃ですね」
 その和歌に、麻理子の声を聞かされているような気がした。彼女との恋はすでに時効を迎えたものとばかり思っていた。だが、よくよく考えれば、時効だなんて、ただの便宜にすぎない。僕が彼女を裏切ったという事実は消えやしない。
「紫の上の手紙は『おいらか』な書きぶりでした。『おいらか』とは、心が広いという意味ですね。源氏には、それがかえって胸にしみるんです。それで彼は、いつまでも手紙を手に取って眺めます。そしてその後は、明石の君へのお忍びの泊まりをしなくなったんです」
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Author:スリーアローズ
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