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キラキラ 151

 奈月のその話を聞いた瞬間、明石の君の姿が怖いくらいリアルに僕のイメージの中に浮き上がった。8月の宵の薄闇にぼんやりと映し出された美しい女性。それは、どこかぶっきらぼうな明石の入道の娘というよりは、もっと崇高なものによって産み出された神秘的な存在のように思われた。
 ふと思い出したのは、かぐや姫だった。幼い頃、絵本の中で空想した女性が明石の君と重なる。だとすれば、明石の入道は竹取の翁だ。かぐや姫は竹取の翁の実の娘ではなく、月の世界の女性だった。事情を知らない竹取の翁は、娘として手塩にかけて、それはそれは可愛がる。
 千年以上も前に架空の女性として描き出された明石の君が目の前に現れたのは、おそらくはかぐや姫の話が僕の中に敷かれていたからかもしれない。そう考えると、光源氏は、かぐや姫に求婚する貴公子たちということになろうか。だが、貴公子たちはかぐや姫を手に入れることはできなかった。
「ところでさ」と僕は聞いた。「最終的には、光源氏は明石の君を手に入れるんだよね?」
 すると奈月は僕の方に向けて顔を上げ、「まぁ、そうなりますね」と答えた。
 ならば光源氏は月からの使者ということになるのだろうかと思っているところに、奈月が口を開いた。
「私、古くさいところがあるのかもしれませんけど、平安時代の人の感性って、素敵だなって思うところがあるんですよね」
「というと?」
「女性や男性を評価する時に『けはひ』とか『にほひ』が大切だっていうことです。見た目だけじゃないんですよね。それって、共感できるところがすごくある」と奈月はしんみりと答えた。
「ほんとうに心がきれいな人って、姿がはっきりとは見えなくても、それから会えない時でも、存在に包まれるじゃないですか。一緒にいて落ち着いたり、もっと一緒にいたいなって思ったりしますよね。で、そういう人たちって、当然見た目にもそれがちゃんと現れる。うわべだけの人には、絶対に出せない世界です」
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Author:スリーアローズ
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