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キラキラ 165

「俺はモテないよ」と僕はとりあえずそう言った。
「モテますよ。私、先輩のこと好きですよ」
「奈月はそう言ってくれるけどな、仮に世の中の女性に俺がモテるかモテないかっていうアンケートを取ったとしたら、間違いなくモテない方に圧倒的多数が傾くはずだ」
 僕がそう言うと、奈月は梅酒のグラスを膳に置いて、「そのアンケート、ナンセンスじゃないですか」と口をとがらせた。
「そうか?」
「そうですよ。だって、先輩、世の中の圧倒的多数の女性に好かれたいんですか?」
「いや、もちろんそういうわけじゃないよ。俺が言いたいのは、俺は女性にとっての魅力的な要素に乏しいっていうことだよ」
 すると奈月は首をかしげたまま、前菜の酢の物を箸でつまんだ。
「その『女性にとっての魅力的な要素』っていうのがまた私には理解しにくいんですけど、じゃあ、もしそんなものがあるとしましょうか。先輩は、それらを手に入れたいんですか?」
「ちょっと待て。なんだか話がずれてないか? いきなり奈月が、俺のことをモテるだなんておかしなことを言うから、それは違うよって、比喩を使って主張してるだけなんだ。だから別に、モテたいって言ってるわけじゃない。モテない俺は俺なりの生き方をするしかないっていうことだよ」
 僕がそう返すと、奈月はきっちりと着た浴衣の胸元をさらにきちんと整えた。それからさっき接客係が運んできたエビスビールの瓶を手に取って、僕のグラスにやさしく注いでくれた。
「本当に先輩が魅力的でないのなら、麻理子さんみたいな、超理想的な人が好きになるわけがないじゃないですか」と奈月はたしなめるように言った。寂しさを抱え込んだ小学校教師という風情だった。
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スリーアローズ

Author:スリーアローズ
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