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キラキラ 167

「やっぱり、先輩って、独特ですよね」
 奈月は浴衣の袖に手を添えてビールをゆっくりと注ぎながらそう言った。
「だから言ったじゃないか、俺は女性にとって魅力的じゃないって」
「いや、魅力的かどうかっていうのは先輩が決めることじゃないですよ。そうじゃなくって、私には及びもつかないところがあるってことです。じゃあ、1つ聞きますけど、先輩はその人のこと、好きなんですか?」
 その質問を受けた時、学生時代の僕たちの距離感が戻ってきたのを感じた。単刀直入に本質に迫ってくる質問は、僕のことを理解してくれている奈月だからこそできるのだ。彼女はいつもそうやって僕を困らせたものだ。とはいえ僕は、答え方を心得ている。奈月にごまかしは通用しないということだ。
「彼女といると落ち着くのはたしかだね。でも、だからといって、それが好きという感情かどうかはよく分からない」
「いかにも先輩らしい回答ですね」と奈月は言い、ビールを口にした。「でも、それって、やっぱり好きなんですよ。好きじゃなかったら、2人きりでどこかに行こうだなんてまず思わないですよ」
 僕は何も答えずにいた。これ以上話を続けたところで、奈月は僕の心の機微を理解できない。
 僕にとって、好きという感情は相対的なものさしで計られるものだ。そうなったのは、幸恵への恋の経験が影響している。全身を焦がすような恋を経験した以上、あの思いに匹敵するほどの感情に支配されない限りは好きだとは思えなくなっている。奈月は幸恵のことを知らない。だから、この心情を説明することなどできない。
「あまり偉そうなこと言えませんけど、先輩、その人のこと、傷つけちゃいけませんよ。大事にしてあげてくださいよ。その人は先輩のことめちゃくちゃ好きですよ。私には十分に伝わります」 
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スリーアローズ

Author:スリーアローズ
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