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キラキラ 173

「みおつくし?」と僕は奈月の朗読に口を挟んだ。すると彼女は目だけこっちに向けて、「はい。昔、川とか海で舟の通り道を示すために作られた木の杭のことです。難波は昔から水上交通が盛んで、そんな標識が所々に立てられてたんでしょう。澪標は和歌の掛詞になることも多いですよね。たしか、百人一首にもあったと思いますよ」
 つまり光源氏は、難波における明石の君との予期せぬ再会は、恋する2人が水路を示す杭に導かれるかのように、運命によって引き寄せられたのだととらえようとしたわけだ。そうやって、傷ついた明石の君の心を何とか慰めようとしたのだろう。そんな想像をしている間に、奈月は朗読を先に進めた。
「・・・光源氏の一行が華々しく通り過ぎるのを見るだけで心が波立つばかりだった明石の君は、源氏からの手紙を受け取り、ほんの一言であっても心にしみてもったいなく感じられて、思わず泣けてしまうのだった。そうして、彼女も和歌をしたためて、それを使いに渡した。

数ならで なにはのことも かひなきに などみをつくし 思ひそめけむ
(人の数にも入らない私が、何を思ったって甲斐のないと分かりきっているのに、いったいなぜ身を尽くしてあなた様のことをお思いする羽目になったのでしょう)

 六条御息所を彷彿とさせる、誇り高く理知的な明石の君だったのに、彼女の心境には明らかな変化が見てとれる。光源氏とのあまりにもかけ離れた身分の落差を思い知らされた哀しみが素直に詠まれている。まだ出会って間もない頃、明石で源氏から手紙をもらった時、『私をまだご覧になっていない方が、噂を聞いただけでお悩みになるのでしょうか?』と切り返してみせたのが同一人物とは思えぬほど、彼女もつらい恋の深みにはまりこんでしまっているのだ」
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