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キラキラ 175

「たしか、六条御息所にも娘はいたよな」と僕は確認した。
「ですね。彼女は斎宮に選ばれて伊勢神宮に仕えたんですけど、その後、都に戻ってからも重要な人物として成長してゆきます」
「つまり、こういうことだ。御息所の娘は、母に伊勢へ下るためのきっかけをつくった。かたや明石の君の娘は、母を光源氏に近づける役割を果たした」
 僕がそう言うと奈月は頭の中でもつれた糸をほどくような表情を浮かべて、「そういうことになりますかね」とつぶやいた。
「さっき奈月は、六条御息所は物語から消滅して明石の君は再生されたって話してくれたけど、それぞれの娘の役割はけっこうでかいね」と僕は考察し、それから「で、結局、明石の君は、上京するんだよね?」と続けた。すると奈月は「はい」と落ち着いて答えた。
「さんざん悩む娘の姿に心を痛めた明石の入道は、大堰川の辺りに放置されていた土地のことを思い出すんです。もちろん、娘を都に住まわせることについて、入道にもいろんな不安があったわけですが、光源氏に頼る一心で、その土地を手に入れて娘のために邸を造る決心をしたんです」
「そういえば明石でも、もともと住んでいた海辺の家では高波のおそれがあるからと、わざわざ丘の上に家をこしらえたよな。で、今度は娘のために京都に家を作ったわけだ。いかにも入道らしいけど、それよりこの人は相当な財力を握ってたんだな」と僕は言った。思えば、明石の入道も、明石の君と光源氏を引き合わせるためのキーパーソンになっている。これも住吉の神の導きなのだろうか?
「かくして明石の君の新居は、大堰川の辺りに建てられたわけです。ほら、先輩、これを見てください」と奈月は言い、スマートフォンの画面を差し出し、その中の地図を見せた。
「大堰川って呼ばれるのは、嵐山公園の辺りなんです。つまり、まさに、今私たちがいるこの場所ですよ」
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