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キラキラ 180

「なぁ、奈月」と彼女につぶやきかけた。「そういうことって、程度の違いはあっても、おそらく誰しもが考えることだと思うんだ」
 奈月はふっと顔をこっちに向けた。
「ただ、奈月の場合、感受性が人一倍強いところがあるから、深刻に考え込んでしまう。それで自分を追い詰めてしまうんだと思うよ」
 奈月はガラスに映る彼女自身と対面して「じゃあ、私と同じようなことをみんな考えるとして、その人たちはどうやって解決してゆくんですか?」と聞いてきた。
「解決のしかたは人それぞれだろうけど、きっとほとんどの人間は諦めてゆくんだと思う」と僕は答えた。「人はみんな死ぬ。逆に永遠の生を与えられたとして、それはそれで苦しいことだと思う。死を前提として生かされている僕たちは、自分の人生が終われば、次に生まれてくる人たちにバトンタッチするようになっている。諦めるっていうのは、その自明の事実を受け容れるってことだ」
 僕はそう言った後、いったん膳に戻って、ビールと新しいグラスを2つ持ってきた。そうして2人で乾杯しなおした。新しいビールを不味そうに飲んだ奈月は、その後でこう言ってきた。
「今先輩が言われたのは、あくまで一般論ですよね?」
 僕はグラスを口に運ぶ手を止めて、奈月の横顔を見た。
「すごくよく分かるんです。でも、私は諦めたり受け容れたりする境地にはまだ達してないんです」
「大丈夫だよ。そのうち達することができるよ。すべては時間が解決してくれる」
 僕の言葉に彼女は弱々しく首を振りながら、「諦めるっていうのは、ほんとうに寂しくてつらいことです」と言った。
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スリーアローズ

Author:スリーアローズ
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