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キラキラ 184

 奈月はページを1枚めくった。紙のこすれる音が部屋に響いた。
「大堰の邸に初めて光源氏が訪ねてきた時の様子も印象的ですね」と奈月は続けた。「妻である紫の上の目があって、なかなか抜け出すのが難しかったんですが、嵯峨野に御堂を造っているということを口実にして、やっとのことで大堰の邸を訪ねるんです。源氏は、この日のために、直衣(のうし)といって、きちんとした正装で明石の君の前に現れます。その姿を見て、哀しみに閉ざされていた彼女の心はしだいに晴れていきました。
 その翌日、光源氏はいったん嵯峨野の御堂を見た後、月の明るい中を再び大堰の邸に戻ります。明石の君は、明石の浦での別れの時に源氏から受け取った形見の琴を出し、それを源氏に見せました。源氏は琴をかき鳴らしながら、しみじみとした思いに駆られます。音色に包まれていると、明石での時間がたった今のことのようにさえ思われ、歌を詠みます。
 
契りしに かはらぬことの しらべにて 絶えぬこころの ほどは知りきや

 あの時お約束した通り、今も昔も変わらないこの琴の調べによって、ずっと絶えることのなかったあなたを思う心の深さは、おわかりいただけたでしょうか? 
 それに対して明石の君も、和歌を詠み返します。

かはらじと 契りしことを 頼みにて 松の響きに 音を添へしかな

 心変わりはしないと約束してくださったことだけを頼みにして、ここの松風の響きを聞いては泣いていたのですよ」
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Author:スリーアローズ
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