スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

キラキラ 192

「してなかったと思うね」と僕は即答した。自分でもびっくりするくらいに断言的な言い方だった。
 奈月も意外だったのか、顔を少し遠ざけぎみにして、暗がりの中の僕の顔を確かめながら「どうしてそう思うんですか?」と尋ねてきた。
 その問いかけに、またしてもすぐに答えが出てきた。
「俺の第6感がそう言ってる」
 奈月はしばらく間を置いてから、ふっと笑った。
「やっぱり、やさしいですね、先輩」
「やさしさなんかじゃない。心からそう思うよ」
 僕がそう言うと、奈月は首の力を抜き、再び二の腕に頭をもたげてきた。
「第6感っていうのは、ここぞというときには信頼できるんだ」と僕は説明した。奈月は「まぁ、それはそうかもしれませんけど」とやはり力の抜けた返事をした。
 僕の頭の中には東山の結婚式の時の記憶があった。
 東京タワーを一望する瀟洒なレストラン、彼らは芝公園の万緑にそびえたつ東京タワーを背景にして、純白の服に身を包み、幸せに満ちあふれた表情を僕たちに向けていた。新婦は奈月よりも背の高い、都会的でスマートな女性だった。大病院の検査技師をしているらしく、東山とは合コンで知り合ったということだった。
 披露宴の間、2人は終始睦まじく見つめ合い、ケーキカットの時には濃厚なキスまで披露してくれた。僕はその光景だけは直視できなかった。なぜなら、心の中には奈月の面影があったからだ。大学時代、この男の隣にはいつも奈月がいた。そのことをよく知る僕は、奈月以外の女性と東山がキスをすることを現実として受け容れたくはなかった。
「この方と初めて出会った瞬間に、運命を感じました」とスマートな新婦はスピーチの冒頭で涙を流した。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

作者

スリーアローズ

Author:スリーアローズ
*** 
旅に出ましょう
それも
とびっきり寂しい旅に・・・

最新の文章
リンク
みなさまの声
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
目次
月別アーカイブ
検索フォーム
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。