スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

キラキラ 194

 僕がそう答えると、奈月はまたふっと笑った。今度は「先輩、やさしいですね」とは言わなかったが、心でそうつぶやくのが僕には聞こえた。
「それにしても、東山が問題を抱えてたとしたら、まったく気づかなかったな。完全に心を閉ざしてたんだよ、あいつ。奈月は何か心当たりがあるかい?」
 すると彼女は「もう、ほとんど忘れちゃってますけどね、あえて言うと、突然無口になったり、イライラすることはありましたね。でもそれって、男の人なら普通にあることじゃないですか。私の友達も彼氏のことでけっこう悩んでましたし、東山君よりももっと変な人はいましたしね」
「そうだよ。たいていの男は、女には言えない何らかの問題を抱えてるもんだ。ただ、そういうのって、誰でも抱えてるわけだから、あえて問題扱いするまでもないことだよ。でも東山の場合はまた違う気がするんだ。たとえば、たいていの男は、あそこまで『源氏物語』に執着しない」
「じゃあ、先輩も何か問題を抱えてたんですか?」と奈月は質問の矛先をいきなり僕に向けてきた。意表を突かれながらも、「そりゃ、まあ、あるよ」と答えた。
「へぇ~。気になりますね。麻理子さんのことですか?」と奈月は顔を寄せてきたが、その問にはあえて答えずに、話を本筋へと戻した。
「要するに、奈月は、東山と結婚しないで正解だったってことだ」
 だが、僕がそう結論づけても奈月は薄く笑ったままだ。どうやら僕の言葉が届いていないようだ。
「いいかい、奈月、たしかに東山はいい奴だ。奈月とも最高にお似合いだった。でも、あいつは宿命的に冷めたところがある。過去をあっさり切り捨てることができるし、気持ちを切り替えることだってできる。好きな人たちといつまでもずっと一緒に生きていたいって願う奈月とは、価値観が違うんだ。だからあいつと結婚しても、きっとどこかで問題が起こってたろうよ」
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

作者

スリーアローズ

Author:スリーアローズ
*** 
旅に出ましょう
それも
とびっきり寂しい旅に・・・

最新の文章
リンク
みなさまの声
カレンダー
06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
目次
月別アーカイブ
検索フォーム
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。