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キラキラ 198

「で、結局、入ったの? 生徒会に」と僕が尋ねると、二の腕の上で奈月はうなずいた。
「入りましたよ、思い切って。友達は、『やる気があるね、頑張って!』みたいな反応でしたけど、私の本心は先生に近づくためだったんだから、けっこうドキドキだったんですよ。生徒会に入ってからは、毎日が楽しくって仕方なかったですね。生徒会室に入って、みんなでワイワイガヤガヤやって、それから先生が入ってくる。先生もいろんな話をしてくれるんです。高校時代の失恋話とか、怪談話みたいなこととか。そうやって先生を身近に感じれば感じるほど、ますます好きになっていきましたね」
 奈月はそう言った後で身体を傾けて、天井の方を向いた。月明かりがじわじわと広がっている。
「それが、いつのことだったですかね。ある時、体育教官室の中で、先生と2人きりになったことがあったんです。先生は、みんなの前に立つと冗談を言ったりしてひょうきんなところがあったんですが、2人きりになると、人格が変わったみたいにまじめになるんです。私は鼻から火が出るくらいに緊張してたんですよ。生まれて初めてでしたねあんなにドキドキしたの。
 で、その時先生は私にこう言われたんです。他人と一緒に楽しむことは簡単だけどそれは凡庸な人間のすることだ。それに引き替え、他人を意図的に楽しませることは案外難しい。おまえはやさしい子だから、本当の意味で人のためになるような生徒会役員を目指しなさいって。それから私はその『人のため』ってことが常に頭から離れなかったように思うんです」
「すごく大事なことだし、たしかに奈月はそうやって生きていると思うよ」と僕は彼女の方に身体を向けてそう言った。
「ありがとうございます。でも、今になって、その『人のため』っていうことを考えすぎるあまり、自分のことがおろそかになってきたんじゃないかって思い始めたんです。さっき少し後悔してると言ったのは、そのことなんです」
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Author:スリーアローズ
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