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キラキラ 212

 僕は、奈月の要求通り、そのまま彼女を抱きしめた。すると奈月は、僕に半パンを脱ぐように促してきた。それを脱ぎながら、あぁ、これでいよいよ元には戻れないなと実感した。
 かくして僕たちは完全に裸同士になって抱き合った。奈月は僕の胸の中にうずくまった途端に「すごい落ち着きます」と胸をなでおろすように言った。
「なんだかさ、信じられないよ」と僕は感想を漏らした。
「何がですか?」
「今がほんとうに今なのか、信じられない。俺の言ってること、わかる?」
「わかりますよ。さっきも言ったじゃないですか。私の場合は、今が今であることだけじゃなくって、私が私であることすら信じられないんですから」
「まだそんな感覚をもってるの?」
「ずっともってますよ。私って一体何なのだろうって、今この瞬間も揺れてます。さっき先輩が寝ていた間も、窓を開けて外の景色をぼーっと眺めてたんですけど、今は平安時代なんじゃないか、私は『源氏物語』の中に生きてたんじゃないか、本気でそう思った瞬間が何度もありましたよ」と奈月は言い、その後で体をするりと反転させ、窓の方を向いた。僕は彼女を後ろから抱きしめる格好になった。
「で、やっぱり奈月は六条御息所なの?」と問うと、少し間を置いて「ですね」と返ってきた。「でも、さっきよりはだいぶ薄れた気はしますね。心が落ち着いたからですよ」
「ということは、六条御息所と重なるのは、心が落ち着かない時なの?」と僕は問いかけた。
「それが、自分でもよく分からないです。とにかく、魂が勝手にさまよってしまって、普段考えないようなことを考えたりすることがあるんです。六条御息所はそうやって光源氏の妻に取り憑いたでしょ。あれと同じじゃないかと思うんです」
 奈月はよくわからない答え方をした。
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スリーアローズ

Author:スリーアローズ
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