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キラキラ 219

「東山との思い出をたどっておきたいんだな」と僕が返すと、奈月は「東山君とは、あんまり関係ないです」とあっさり答え、洗面台を照らしていた白熱灯をぱちりと消した。そうして軽く頭を下げてから僕の前を横切り、部屋へと入っていった。
 僕が部屋の間接照明のスイッチを入れると、ほのかな明かりがふわりと立ち上がった。奈月は部屋の隅で自分の荷物をまとめている。
「ほんとうに帰っちゃうのか?」と僕は聞いた。寂しさでいっぱいになった胸がずっしりと重い。
「どうしても帰らなきゃいけないんです」と奈月は後ろ向きで答えた。
 外はまだまだ闇に包まれている。夜はまだ明けそうにない。大堰川から吹き込んでくる風も冷たさを含んでいる。
「奈月が帰るのなら、俺もここを出るしかないな」と僕は立ったまま大堰川に架かる渡月橋を眺めながらつぶやいた。橋は幽玄の明かりでライトアップされている。車の通りは全くない。その光景は極楽浄土を連想させた。いや、三途の川かもしれない。 
「私が帰っても、先輩はゆっくりされてください。お風呂も入れますし、朝食も取ってあるわけですから。私に気を遣わないでください」と奈月は自分の衣類をたたみながらそう言った。
「奈月」と僕は彼女の名前を呼んだ。彼女は「はい」と小さく答えた。
「君はほんとうに、奈月、だよね?」
 すると彼女は「何おかしなこと言ってるんですか」と笑い、僕の方を見た。たしかにどこからどう見ても奈月にちがいない。だが、さっきまでの奈月とは何かがちがうのだ。何時間か前まで、僕たちは裸で抱き合っていたのだ。僕は彼女にキスをし、彼女の陰毛に手を入れた。そうして彼女は何度も僕に抱いてほしいとねだってきた。
 目の前に座っている女性は、いったい誰なのだろう?
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スリーアローズ

Author:スリーアローズ
*** 
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それも
とびっきり寂しい旅に・・・

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