スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

キラキラ 243

「永遠の恋」と思わず僕の口から漏れた。それは、言葉の体裁をとったため息だった。僕の知っている奈月は、そんなことを言うような深刻な女性ではない。目の前に立っているのは、いったい誰なのだろう?
 僕が戸惑っているところに、彼女は今までよりも悲しげな口調で話を続けた。
「つまり、六条御息所にとっては、源氏は神よりも強い存在だったのです。娘と一緒に伊勢に下るという決断も、忘れようにも忘れられない、苦しみの種になっている源氏から遠ざかるための機会にすぎなかったわけです。だのに、旅立ちの前に源氏は現れ、彼女を抱いた。そうしてその充足感の中で、彼女は自らの思いを源氏にぶちまけた。心に封じ込めていた恋心を相手に伝えた瞬間、魂は目を覚ますのです。言わずに堪え忍んでおけば、何とか切り抜けることはできたかもしれません。だけど、そうは言ってもそれも難しい。恋心が強ければ強いほど、外へ吐き出すにはいられなくなるものですから」
 奈月はそう言った。話が深くなればなるほど、彼女の意図を洞察するのが難しくなる。同時に、六条御息所が架空の人物だとは思えないほど身近な存在に感じられる。頭の中は混乱するばかりだ。奈月は、さらにぐいぐいと話を先に進める。
「ただこういうふうにも考えられます。六条御息所が、この野宮で封じ込めていた恋心を源氏に吐き出したのも、運命のしわざであると」
 僕は暗闇の中の奈月を見た。彼女の瞳も僕を捉えているのが分かる。
「最終的には、六条御息所は心を鬼にして伊勢へと下るわけですが、野宮での源氏との再会と別れは、とても重要な意味をもつことになります。この経験があったからこそ、その後源氏が須磨に流れたのちにも、2人は文通でつながることができたのですから」と奈月はどこか安心したように言った。
 だが、その直後に、彼女の声はたちまち暗転した。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

作者

スリーアローズ

Author:スリーアローズ
*** 
旅に出ましょう
それも
とびっきり寂しい旅に・・・

最新の文章
リンク
みなさまの声
カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
目次
月別アーカイブ
検索フォーム
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。