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キラキラ 247

 奈月が僕に何を分かってもらいたいと考えているのか、それから、どうしてこの野宮に来たのか、なぜ彼女は今のような姿になっているのか、不可解なことだらけだ。そう考えると、たしかに僕は彼女のことを分かっていないのかもしれない。
 僕はふと、杉の木立の間から空の様子をうかがった。夜は明けそうで明けない。空だけ時間が止まっているみたいだ。発光ダイオードのように青白く鋭い光を放つ月も、空の端で輝き続けている。まるで月に監視されているようでもある。
 奈月は、もう1度つばを飲み込んでから、話を進めた。
「光源氏が明石の君のことで胸を塞いでいるちょうどその頃、伊勢から帰ってきた六条御息所にはもはや源氏と再会する気力すら残っていませんでした。源氏の方も、彼女と無理をして会うには地位が上がりすぎていました。やはり、野宮での別れが、2人の最後だったのですね」
 奈月は、まるで自分の過去を回想するかのように、しんみりと語った。
「伊勢では、仏を崇めることが禁じられていたということもあって、都に帰った御息所は、出家をします。その知らせを聞いた源氏は、さすがに彼女を慰問します。対面した時、あまりに急に弱った御息所の姿を見て源氏は驚きます。彼女の魂は死んでしまっていた。もはや消滅の寸前だったわけです。源氏は、こだわりを残したまま御息所と死別をするのではないかと思い、涙を流します。彼女の方も自分の命が終わろうとしていることは十分に承知していたし、それ以上に、源氏の気持ちもよく理解していました。
 それで、御息所は娘である前斎宮のことを源氏に託します。もちろん源氏もその願いに応えようと意気込むのですが、その時、御息所は、源氏に向かってこんなことを言います。

 女は思ひの外にてもの思ひを添ふるもの・・・
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Author:スリーアローズ
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